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階下からのタバコの煙で窓も開けられない!ベランダでの喫煙を「止めて」と言えるか?
2013年11月30日 12時15分

そろそろ部屋の中が乾燥する時期になってきた。健康のためには換気を意識的に行ったほうがいいだろう。だが、マンション暮らしでありがちなのが、新鮮な空気を入れようと窓をあけたら、他室の居住者がベランダでタバコを吸っていて、その煙が部屋の中に入り込んでしまうというケースだ。

自室の壁や空気を汚したくないのか、はたまた家族から追い出されてしまうのか、寒空の下、ベランダでタバコを吸う人は多い。夜のマンションに、タバコの火がぽつり、ぽつりと点灯していることから「ホタル族」なんていう俗称まである。

他人のタバコの煙を吸わされる側からしてみれば、はた迷惑な話だろうが、「ホタル族」は「ベランダでタバコを吸うぐらいは認めてくれよ」と言うに違いない。はたしてマンションの「ベランダでの喫煙を止めて」と訴える法的な権利はあるのだろうか。それとも、それぐらいは我慢しなければならないのだろうか。不動産問題にくわしい瀬戸仲男弁護士に聞いた。

そろそろ部屋の中が乾燥する時期になってきた。健康のためには換気を意識的に行ったほうがいいだろう。だが、マンション暮らしでありがちなのが、新鮮な空気を入れようと窓をあけたら、他室の居住者がベランダでタバコを吸っていて、その煙が部屋の中に入り込んでしまうというケースだ。

自室の壁や空気を汚したくないのか、はたまた家族から追い出されてしまうのか、寒空の下、ベランダでタバコを吸う人は多い。夜のマンションに、タバコの火がぽつり、ぽつりと点灯していることから「ホタル族」なんていう俗称まである。

他人のタバコの煙を吸わされる側からしてみれば、はた迷惑な話だろうが、「ホタル族」は「ベランダでタバコを吸うぐらいは認めてくれよ」と言うに違いない。はたしてマンションの「ベランダでの喫煙を止めて」と訴える法的な権利はあるのだろうか。それとも、それぐらいは我慢しなければならないのだろうか。不動産問題にくわしい瀬戸仲男弁護士に聞いた。

●マンションの規約を確認してみよう

「喫煙者にとってタバコの臭いは気にならないかもしれませんが、嫌煙者にとってはタバコの臭いは大変イヤなものです。

ベランダに干しておいた洗濯物にタバコの臭いが着いたり、煙ではなくても上階から灰や吸い殻が落ちてきたりしたら、大いに腹が立つでしょう。

あるいは、火の着いたままのタバコが落ちてきて、やけどや火事になったりしたら一大事です」

瀬戸弁護士はこのように切り出した。こうした問題に、法的対処は可能なのだろうか。

「まず、分譲マンションについて考えます。ベランダは『共用部分』と言われるものですが、この共用部分について『各共有者は共用部分をその用法に従って使用することができる』ことになっています(区分所有法13条)。

ベランダ(バルコニー)等については『専用使用権』が設定されていることが多く(マンション標準管理規約14条1項)、その場合は原則として、専用使用権者が自由に使用できます。

ベランダについて喫煙禁止(火器禁止)を定める場合には、管理組合の総会で規約または使用細則を設定、変更しなければなりません」

そうすると、まずは自分が住んでいるマンションの規約や使用規則を確認してみるのがよさそうだ。もし、そこで喫煙が禁止されていない場合は、漂ってくるタバコの煙を我慢しなければならないのだろうか。

●マンション住人の「共同の利益」に反するなら、止めさせられる

「喫煙行為によって、住民全体が迷惑を被っているなら、『区分所有法』の6条1項が役に立つかもしれません。

この条文には、『区分所有者は建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない』と規定されています。

仮に、問題の喫煙行為がこの『共同の利益』に反するならば、区分所有法57条(行為停止請求)、58条(専有部分使用禁止請求)、59条(専有部分競売請求)の規定によって、対処することも可能かもしれません」

ただそれだと、迷惑している人が一部に限られている場合には、使えないということになる。

「そういう場合、一般法である民法を使うことになります。

喫煙そのものは個人の自由(憲法13条)ですので、民法では止められません。

ただ、民法709条・710条の不法行為の規定により、他人に迷惑をかけるような形態で喫煙行為をしている人に対して、損害賠償を請求することは可能です」

●裁判で「損害賠償」が認められたケースもある

実際に、そういった訴訟が起きたことはあるのだろうか?

「2012年12月13日に、名古屋地方裁判所で、同様の事案に関する判決がありました。

裁判の内容は、マンション住人のAさん(女性、当時74歳)が『自分が体調を崩したのは階下の住人Bさん(男性、当時61歳)がベランダで喫煙したせいだ』と、Bさんに150万円の損害賠償を求めた、というものでした」

判決の内容は?

「裁判所は、近隣住民に配慮しない喫煙を『違法』と判断し、慰謝料(精神的損害に対する賠償)として5万円の支払を認める判決を言い渡しました。

わずか5万円の判決ですが、画期的な判決だと評価されています。

なお、この事案では、Aさんに喘息の持病があり、タバコの煙によるストレスで帯状疱疹を発症したこと、AさんからBさんに対し手紙や電話で何回も喫煙中止を申し入れたが拒絶されたことなどが、考慮されたようです」

そういった特殊事情が考慮されたとすれば、一般的に裁判で争えばいい、と考えるわけにはいかなさそうだ。より広く一般的に使える手段は、どんなものだろうか? 瀬戸弁護士は次のようにアドバイスを送っていた。

「根本的には、管理組合の総会で議題として取り上げて、規約に盛り込むべきでしょう。管理組合の顧問弁護士やマンション管理士などに相談してみてください。

なお、賃貸マンションの場合は、区分所有法は適用外です。賃貸人(家主)や管理会社に伝えて、喫煙者に対し喫煙を自粛するよう指導してもらいましょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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