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自転車で「信号無視」繰り返したら「前科者」? 違反したらどうなる?
2013年01月30日 16時00分

自転車で信号無視をしても、せいぜい警察に呼び止められて、注意されるくらいですむと思っている人も多いのではないだろうか。しかし、そんな"自転車天国"も終わりを告げることになるかもしれない。東京地検が2013年1月21日、信号無視などを繰り返す悪質な違反者に対して、積極的に略式起訴して、罰金刑を求める方針を打ち出したからだ。

これまで自転車での信号無視は、自動車と同じように道路交通法で禁じられてきたが、実際は検察が起訴することはなく処罰されることもなかった。ところが、信号無視の自転車が引き起こす事故が後を絶たないことから、検察の運用が変更されることになったという。

もし自転車の信号無視で略式起訴され、裁判で有罪となると、5万円以下の罰金刑が科される。これは、「前科がつく」ことを意味するが、どのような手続で処罰されることになるのだろうか。道交法に詳しい池田毅弁護士に聞いた。

●自転車の信号無視を繰り返すと「警察の注意」だけですまなくなる

「交通量の多い交差点で信号無視を繰り返し、警察に注意をうけることが重なると、悪質な道路交通法違反と判断され、警察に摘発されてしまいます。おそらく逮捕されることは少ないでしょうが、その後、事件が検察に送致されると、検察に呼び出されて取り調べを受けることになります」

「そうなると、略式起訴されて、裁判所により罰金刑を科されることが想定されます。罰金は、最高額が5万円ですから、ほかに前科がなく初めてであれば、それより低額の罰金刑となることが多いでしょう」

では、自動車の場合とどう違うのだろうか?

「信号無視は、道路交通法に違反する犯罪ではありますが、自動車の場合、『反則金制度』がありますので、悪質なものでなければ反則金を支払うことで、刑事手続きを免れることができます。これは行政手続きですので、前科となることはありません」

「これに対して、自転車にはこのような反則金制度がありませんから、原則に戻って、初めてであっても刑事手続きにのせられることになります。ですから、これまで検察は、前科となりうる起訴には消極的だったのでしょう」

つまり、自転車の信号無視については、自動車と違って反則金制度がないため、悪質な場合には「前科がつく」という深刻な結果となる可能性があるということだ。

●「前科がつく」と、資格や職業の取得などに支障が生じる恐れも

「罰金であっても、犯罪を犯したという『前科』には変わりありません。前科がつくと、たとえば、資格や職業によってはなれないものがあります。また、海外渡航の際に、通常は必要ないビザ取得が要求される、などのデメリットが生じる可能性があります」

今回の検察の方針転換によって、安易に信号無視を繰り返した結果、「前科者」になってしまう、なんてことも起こりうるようだ。そもそも自転車の信号無視によって大きな事故が起こると、運転手だけでなく、事故に巻き込まれた人たちの生活を狂わすことになる。多くの人の将来のためにも、自転車を運転する人は、交通ルールをきちんと守ることが求められる。 

(弁護士ドットコムニュース)

自転車で信号無視をしても、せいぜい警察に呼び止められて、注意されるくらいですむと思っている人も多いのではないだろうか。しかし、そんな"自転車天国"も終わりを告げることになるかもしれない。東京地検が2013年1月21日、信号無視などを繰り返す悪質な違反者に対して、積極的に略式起訴して、罰金刑を求める方針を打ち出したからだ。

これまで自転車での信号無視は、自動車と同じように道路交通法で禁じられてきたが、実際は検察が起訴することはなく処罰されることもなかった。ところが、信号無視の自転車が引き起こす事故が後を絶たないことから、検察の運用が変更されることになったという。

もし自転車の信号無視で略式起訴され、裁判で有罪となると、5万円以下の罰金刑が科される。これは、「前科がつく」ことを意味するが、どのような手続で処罰されることになるのだろうか。道交法に詳しい池田毅弁護士に聞いた。

●自転車の信号無視を繰り返すと「警察の注意」だけですまなくなる

「交通量の多い交差点で信号無視を繰り返し、警察に注意をうけることが重なると、悪質な道路交通法違反と判断され、警察に摘発されてしまいます。おそらく逮捕されることは少ないでしょうが、その後、事件が検察に送致されると、検察に呼び出されて取り調べを受けることになります」

「そうなると、略式起訴されて、裁判所により罰金刑を科されることが想定されます。罰金は、最高額が5万円ですから、ほかに前科がなく初めてであれば、それより低額の罰金刑となることが多いでしょう」

では、自動車の場合とどう違うのだろうか?

「信号無視は、道路交通法に違反する犯罪ではありますが、自動車の場合、『反則金制度』がありますので、悪質なものでなければ反則金を支払うことで、刑事手続きを免れることができます。これは行政手続きですので、前科となることはありません」

「これに対して、自転車にはこのような反則金制度がありませんから、原則に戻って、初めてであっても刑事手続きにのせられることになります。ですから、これまで検察は、前科となりうる起訴には消極的だったのでしょう」

つまり、自転車の信号無視については、自動車と違って反則金制度がないため、悪質な場合には「前科がつく」という深刻な結果となる可能性があるということだ。

●「前科がつく」と、資格や職業の取得などに支障が生じる恐れも

「罰金であっても、犯罪を犯したという『前科』には変わりありません。前科がつくと、たとえば、資格や職業によってはなれないものがあります。また、海外渡航の際に、通常は必要ないビザ取得が要求される、などのデメリットが生じる可能性があります」

今回の検察の方針転換によって、安易に信号無視を繰り返した結果、「前科者」になってしまう、なんてことも起こりうるようだ。そもそも自転車の信号無視によって大きな事故が起こると、運転手だけでなく、事故に巻き込まれた人たちの生活を狂わすことになる。多くの人の将来のためにも、自転車を運転する人は、交通ルールをきちんと守ることが求められる。 

(弁護士ドットコムニュース)

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