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友人に「女遊び」をバラされた! 妻は「もう限界」と家出…慰謝料請求はできる?
2019年08月22日 09時26分

友人が知らぬ間に、妻に「女性関係の秘密」を漏らしていたーー。信じていた友人に裏切られたという男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せています。

相談者は、新婚で3カ月の子どもがいます。妻に秘密で、キャバクラに行って遊んだり、海外旅行で現地の女性と遊んだりしていましたが、その事実を全て友人が妻に話していました。

その結果、妻は「もう限界です」と言い、子どもを連れて出て行ってしまいました。離婚届も書いたそうです。

妻から聞き出し友人を問い詰めると、友人は「全部話していた。迷惑かけてしまって全て俺が悪い」と謝罪。慰謝料を払うことを約束しました。

この場合、慰謝料はどの程度払ってもらえるのでしょうか。服部勇人弁護士に聞きました。

友人が知らぬ間に、妻に「女性関係の秘密」を漏らしていたーー。信じていた友人に裏切られたという男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せています。

相談者は、新婚で3カ月の子どもがいます。妻に秘密で、キャバクラに行って遊んだり、海外旅行で現地の女性と遊んだりしていましたが、その事実を全て友人が妻に話していました。

その結果、妻は「もう限界です」と言い、子どもを連れて出て行ってしまいました。離婚届も書いたそうです。

妻から聞き出し友人を問い詰めると、友人は「全部話していた。迷惑かけてしまって全て俺が悪い」と謝罪。慰謝料を払うことを約束しました。

この場合、慰謝料はどの程度払ってもらえるのでしょうか。服部勇人弁護士に聞きました。

●話しただけでは「名誉毀損罪は成立しない」

ーー友人の秘密をバラす行為はどのような罪になりますか

刑事上と民事上の罪、それぞれ検討してみます。

まず、刑事上の責任についてですが、友人は不特定多数に話したわけではないので、直接妻だけに話したという場合には、名誉毀損罪(刑法230条)は成立しないでしょう。

内容をインターネットやSNSに記載するなど、秘密が漏洩した場合は、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

次に、民事上の責任についてです。

まずは、相談者の「プライバシー権が侵害された」という人格権侵害の主張が考えられます。プライバシー権侵害については、「宴のあと」事件(昭和39年9月28日東京地裁判決)が重要な裁判例となっています。

この事件の判決で、(1)私生活上の事実、(2)通常他者に開示されたくないもの、(3)一般に知られていない、の3要件を満たす場合は、原則としてプライバシー侵害になると示されました。

最近はプライバシー侵害は、公表されない利益の方が公表する理由より優越することなど、諸事情を比較衡量して判断する考え方です(平成15年3月15日最高裁判決、長良川事件)。

具体的には、公表する目的や意義、公表する必要性、公表されることによって失われる被害の程度を比較衡量することになります。

ーー相談者のケースはどうですか

今回は、相談者の事実は、キャバクラでの遊興や海外旅行先での女性との遊興です。私生活上の事実ですし、妻には知られていませんでした。

妻の耳に入れば、新婚で3カ月の子どもがいるので、妻が怒るのは当然でしょう。さらに、社会的評価が下がる可能性があり、他者には開示されたくない内容なので、プライバシー侵害といえるでしょう。

また比較衡量の基準から考えても、公表する目的の正当性や高度の必要性がない限りは、夫婦共同生活の平和の利益の方が優越します。そのため、やはり不法行為になるといえるでしょう。   

ーー慰謝料の金額はいくらくらいが妥当ですか

今回のケースでは、相談者自身の行為が離婚原因にもなりかねないものです。そのため、過失相殺(民法722条2項)の可能性もあり、約10万円~50万円の範囲になるのではないでしょうか。

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