この事例の依頼主
50代 男性
ご依頼者様は、朝の電車内で突然痴漢行為を働いたとのことで逮捕されました。しかし、ご依頼者様には痴漢行為をしたような記憶は全くはありません。ご依頼者様は車内で被害者の方に手をつかまれ、何が何かわからずパニックになりました。ご依頼者様は当然ながらその女性にも、駆けつけた警察官にも痴漢行為を否認していましたが、聞く耳を全く持たずに逮捕されました。当事者車内はぎゅうぎゅう詰めで大変混雑しておりました。
逮捕直後にご依頼をいただきまして、直ちに接見に行きましたところ、ご依頼者様からの聴き取り調査で、当時のご依頼者様と女性との位置関係では痴漢行為が出来ないことがわかりました。さらには、ご依頼者様はこれまでの50年以上の人生で痴漢行為で逮捕されたことは勿論何の前科も前歴もありません。さらに、ご依頼者様はサラリーマンとして勤めておられ、身元もしっかりしておりますし、また、ご家族もおられ、監督関係もしっかりしていました。そこで、裁判官に、ご依頼者様と女性との位置関係では痴漢行為が不可能であること、ご依頼者様にはこれまで全く痴漢行為の前科前歴もないこと、家族がしっかり監督して必ず警察からの取調べのための出頭要請に応じることを申し入れ、検察官からの【勾留請求】(取調べのために警察署等の留置場に入れられることを裁判所に検察官が請求することです。勾留決定がなされてしまうと最短でも10日程度入れられてしまいます)を却下するように申し入れをしましたところ、裁判官が私の主張を認めて下さり、否認事件では難しい、勾留請求の却下をしていただけました。こうして、ご依頼者様は否認事件にもかかわらず、逮捕後3日で無事釈放されました。その後、検察官に対して、被告人と女性との位置関係では痴漢行為が不可能なこと、ご依頼者様の手から何らの繊維片も検出されていないこと(痴漢行為の場合は服の繊維片が犯人の手から検出されることが非常に多いためです)などから、ご依頼者様は無罪である旨の意見書を提出し、不起訴処分を求めたところ、ご依頼者様は無事、不起訴となり、前科もつきませんでした。
無罪を争う否認事件では、早期に弁護士に依頼されなければ、捜査機関側の言い分だけが取られた供述調書が取られて、最悪の場合は、認めるような内容の調書が取られてしまい、後で取り返しがつかないことになります。とにかくお早めにご依頼いただき、弁護士のアドバイスを受けながら、捜査機関に対応することが先決です。また、否認事件では、検察官の勾留請求が認められてしまうことが非常に多いのですが、事案によっては、早期にこちらの主張を固めて、裁判所と交渉することで、否認事件であっても勾留請求を却下してもらえることはあります。逮捕されましたら、お早めにご相談ください。